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節電ユニットとは?工場の電気代が下がる仕組みと導入前の見極め方

公開日 最終編集日
節電ユニットの導入

「電気料金の明細を見ても、どこにどれだけコストがかかっているのか分からない」「節電ユニットという言葉は聞くけれど、実際に何をしてくれる機器なのか説明できない」——工場や倉庫の設備管理を担当されている方から、こうした声をよく伺います。電力会社から届く請求書には「基本料金」と「電力量料金」という2つの項目がありますが、この2つはまったく違う仕組みで決まっており、削減のアプローチも別物です。

この記事では、節電ユニットと呼ばれる設備が「何に対して」「どのように」効果を発揮するのかを、電気料金の仕組みから丁寧に解説します。読み終える頃には、
 ①電気料金の基本料金と電力量料金がそれぞれ何で決まるのか
 ②節電ユニットがどちらに効くのか
 ③導入前に確認すべき現場の見落としがちなポイント
の3点が整理できる状態を目指します。単に「節電になります」という話ではなく、仕組みを理解したうえで自社の設備に必要かどうかを判断できるようにすることが目的です。

工場の電気代は「2つの仕組み」で決まっている

高圧受電契約を結んでいる工場・倉庫の電気料金は、大きく分けて「基本料金」と「電力量料金」の2つで構成されています。この2つの決まり方の違いを理解しないまま「節電対策」を検討すると、期待した効果が出ない、あるいは効果のある対策を見送ってしまう、ということが起こりえます。

基本料金:契約電力(デマンド値)で決まる

基本料金は、原則として過去1年間における30分ごとの平均使用電力(デマンド値)の最大値、いわゆる「契約電力」によって決まります[1]。一度でも大きな電力を使うタイミングがあると、その月だけでなく以降の契約電力全体に影響するため、瞬間的なピーク電力を抑えることが基本料金の削減につながります。

電力量料金:力率によって割引・割増がある

もう一つ重要なのが「力率」です。電気には実際に仕事をする有効電力と、直接は仕事をしない無効電力があり、この比率を示すのが力率です[2]。多くの電力会社では、契約上の基準力率を85%とし、実際の力率がこれを上回れば基本料金を割引、下回れば割増する制度を設けています。具体的には「基本料金=契約電力×単価×(1.85−力率(%)÷100)」という計算式が用いられ、力率が85%から1%上がるごとに約1%の割引、1%下がるごとに約1%の割増となる仕組みです[3]。

この2つの仕組みを踏まえると、節電ユニットと呼ばれる設備が実際に働きかけているのは、多くの場合「使用電力量そのもの」ではなく「基本料金の決まり方」であることが見えてきます。

節電ユニットが電気代を下げる仕組み

「節電ユニット」という名称は幅広い機器を指して使われますが、工場・倉庫向けに導入されるものの多くは、次のいずれか、または両方の仕組みを持っています。

① 力率改善(進相コンデンサ)による基本料金の割引

モーターや溶接機、変圧器など誘導性の負荷が多い工場では、遅れ無効電力が発生しやすく、力率が基準の85%を下回りやすい傾向があります。ここに進相コンデンサを設置し、遅れ無効電力を打ち消すことで力率を改善し、前述の力率割引を受けられるようにするのが基本的な仕組みです[2][3]。

② デマンドコントロールによる契約電力の抑制

あらかじめ設定した電力使用量の上限に近づくと、警報を出したり、優先順位の低い設備の出力を自動的に抑えたりすることで、30分ごとのデマンド値が跳ね上がるのを防ぐ仕組みです。大型設備の起動タイミングを意図的にずらす「ピークシフト」も同じ考え方に基づく対策です[1]。契約電力を100kW下げられれば、単価にもよりますが年間で数十万円〜200万円程度の基本料金インパクトになり得るとする試算もあり[1]、使用量そのものを削減するよりも投資対効果が高くなるケースがあるとされています。

現場で見落とされがちな3つのポイント

ここからは、実際に現場で設備の導入・更新に関わる際に、見落とされがちな点を3つ取り上げます。カタログスペックだけでは分からない、判断の勘所です。

1. 「力率改善」と「使用電力量の削減」は別物である

力率改善はあくまで基本料金の割引・割増に影響する仕組みであり、電力量料金(実際に使った電力量に応じた料金)そのものを直接下げるものではありません[2][3]。「節電ユニットを入れれば電気の使用量自体が減る」という理解のまま導入すると、想定していた削減幅とのズレに気づきにくくなります。自社の請求書のうち、基本料金と電力量料金のどちらが課題なのかを先に切り分けておくことが、投資判断の精度を左右します。

2. 進相コンデンサは「多ければ多いほど良い」わけではない

力率割引の計算式が示す通り、力率は85%を基準に上振れすれば割引、下振れすれば割増となります。裏を返せば、進相コンデンサを過剰に設置して力率が100%を超え、今度は「進み力率」の状態になると、再び割増側に振れてしまう可能性があります[3]。設備の稼働状況(負荷の大小や時間帯による変動)に応じた適切な容量設計が必要であり、「とにかく大きな容量を付ける」という発想では狙った効果が出ないことがあります。

3. インバーター設備が多い現場では高調波対策も合わせて検討する

近年はモーターの回転数制御などにインバーターを使う設備が増えており、これらは高調波電流を発生させます。進相コンデンサと高調波が共振し、想定外の過熱や機器故障につながるリスクが指摘されており、こうした現場では直列リアクトル付きの進相コンデンサを選定するなど、単純な力率改善以上の検討が必要になる場合があります。設備更新のタイミングで、電気設備全体の構成を踏まえた設計ができるかどうかが、長期的なトラブル回避につながります。

導入前に確認したいチェックリスト

  • 直近1年の電気料金明細で、基本料金と電力量料金のどちらが総額に占める割合が大きいか確認したか
  • 明細に記載されている「力率」の実績値を確認したか(基準の85%を下回っていないか)
  • デマンド値(30分ごとの最大使用電力)が特定の時間帯・設備の稼働と連動していないか把握しているか
  • 工場内にインバーター制御の設備がどの程度あるか整理できているか
  • 設置後、稼働状況の変化(増設・設備更新など)に応じて容量を見直す運用ができるか

これらは特別な計測機器がなくても、多くの場合は電力会社から届く検針票・請求明細を見返すだけで確認できる項目です。まずは自社の電気料金の内訳を「基本料金」と「電力量料金」に分けて把握するところから始めることをおすすめします。

株式会社IESでできること

株式会社IESは京都市下京区を拠点に、空調・電気・管・塗装・大規模修繕工事、FA事業・省人化設備、省エネコンサルタント、補助金申請サポートを手がけています。節電ユニットの導入は、電気設備の現状(力率・デマンド値の推移・設備構成)を確認したうえで、必要な対策を見極めることが重要です。「どこから手をつければよいか分からない」という段階からのご相談も承っています。詳しいサービス内容は公式サイト(https://ies-japan.co.jp/)をご覧いただくか、ies-kyoto@ies-japan.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

皆さまの工場・倉庫では、電気料金の明細を「基本料金」と「電力量料金」に分けて確認したことはありますか。実際に確認してみて気づいたことがあれば、ぜひ社内の設備管理担当者同士で共有してみてください。

関連するテーマとして、当社では空調の点検・更新やアスファルト補修、蓄電池の導入など、工場・倉庫の維持管理に関わる話題も発信しています。あわせてご覧ください。


この記事のまとめ

工場の電気料金は「契約電力(デマンド値)で決まる基本料金」と「使用量に応じた電力量料金」の2つで構成されます。節電ユニットの多くは力率改善やデマンド制御を通じて主に基本料金側に働きかける仕組みであり、使用電力量そのものを直接減らすわけではありません。導入検討の際は、自社の電気料金明細で基本料金・力率・デマンド値の実績を確認したうえで、過不足のない容量設計を行うことが重要です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 節電ユニットを導入すれば電気の使用量自体も減りますか?
A1. 力率改善は主に基本料金の割引・割増に影響する仕組みであり、電力量料金(使用量に応じた料金)を直接下げるものではありません。使用量そのものを減らすには、照明のLED化や設備の運用見直しなど別のアプローチが必要です。

Q2. 進相コンデンサはとにかく大容量を付ければ効果が高まりますか?
A2. いいえ。力率は基準の85%を上回るほど割引率が上がりますが、100%を超えて「進み力率」になると再び割増側に振れる可能性があるため、設備の負荷状況に応じた適切な容量設計が必要です。

Q3. どの程度の規模の工場・倉庫が対象になりますか?
A3. 高圧受電契約(契約電力50kW以上が目安)を結んでいる事業所であれば、基本料金・力率の仕組みが適用されます。まずは電気料金明細の内訳確認から始めることをおすすめします。

Q4. インバーター設備がある場合、どんな点に注意すべきですか?
A4. インバーターは高調波電流を発生させるため、通常の進相コンデンサと組み合わせると共振によるトラブルが起こる可能性があります。直列リアクトル付きのコンデンサを選ぶなど、設備全体の構成を踏まえた設計が必要です。

参考文献・出典

1. 契約電力とは?デマンド値との関係や電気料金の仕組み・削減方法を解説(関西電力 法人向けソリューションサイト) 参照日: 2026年8月27日
2. 力率の改善方法について教えてください(J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト) 参照日: 2026年8月27日
3. 電気料金の請求書に記載のある「力率割引」とは?(ENECHANGE) 参照日: 2026年8月27日

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