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夏の冷房費が下がらない理由と屋根の表面温度の関係

公開日 最終編集日

「設定温度は下げているのに、電気代も部屋の暑さもあまり変わらない」——夏場、エアコンの効きの悪さに悩む声は少なくありません。実はその原因の一つは、エアコンの性能そのものではなく、日射を受け続ける屋根・外壁の表面温度にあります。この記事では、公的機関や塗料メーカーの実測データをもとに、①なぜ夏に室温が下がりにくいのか、②屋根・外壁の表面温度と冷房負荷の関係、③遮熱塗装がどのように働くのか、④断熱塗装との違いと選び方、⑤今日からできるチェックポイントを、根拠とともに整理してお伝えします。

夏の冷房費が下がらないのは「気温」だけが原因ではない

気象庁の観測でも近年の夏は全国的に猛暑日が増加傾向にありますが、電気代が思うように下がらない背景には、外気温だけでなく「建物がどれだけ熱をため込みやすいか」という要因があります。特に直射日光を受け続ける屋根は、素材や色によっては真夏の日中に70℃を超える表面温度に達することが塗料業界の実測データで報告されており、この熱が屋根裏・天井を通じて室内に伝わることで、エアコンが常に高い負荷で稼働し続ける状態になります。

環境省が案内するクールビズの取り組みでも、エアコンの設定温度を1℃緩和すると冷房時の消費電力量は約13%削減できると見込まれており(一般財団法人省エネルギーセンターの調査に基づく)、逆に言えば室内が余計に暑くなる分だけ、電力消費が積み上がっていくことになります。つまり「室温をどれだけ下げずに済むか」が、電気代の下げ幅に直結しているのです。

屋根・外壁の表面温度と室温・電気代の関係

表面温度が上がるとなぜ室内も暑くなるのか

屋根や外壁は日射エネルギーを吸収すると表面温度が上昇し、その熱が屋根材・下地材を伝わって屋根裏や天井裏に蓄積されます。断熱材だけでは日射による熱の侵入を完全には防ぎきれないため、天井や壁からの「輻射熱」として室内に伝わり、エアコンの設定温度を下げても体感的な暑さや室温の下がりにくさにつながります。

実測データで見る表面温度の違い

実際にどの程度の温度差が生まれるのか、公開されている実験データを見てみましょう。

実験・調査

条件

屋根表面温度の変化

アステックペイントによる実証実験(2025年、茨城県古河市、真夏期間)

一般塗料 vs 遮熱塗料(白)

74.2℃ → 55.4℃(約18.8℃低下)

エスケー化研の戸建て住宅での検証

遮熱塗料施工前後の比較

平均12.9℃低下(小屋裏は平均7.6℃、室内は平均2.0℃低下)

条件や測定方法が異なるため数値には幅がありますが、複数の独立した実測データにおいて、遮熱塗料の施工によって屋根表面温度がおおむね10℃台〜20℃近く低下する傾向が確認されています。表面温度の低下は、屋根裏温度・室内温度の低下にもつながっており、アステックペイントの実験では室内温度が2℃以上低下し、1か月間の冷房電力量が約1〜2割程度削減されたと報告されています。

遮熱塗装はどのように「暑さの原因」に働きかけるのか

遮熱塗料には、太陽光に含まれる近赤外線などを反射しやすい顔料・樹脂が使われており、屋根材が吸収する熱エネルギーそのものを減らす仕組みになっています。一般的な塗料が日射を吸収して熱に変えてしまうのに対し、遮熱塗料は「そもそも熱として溜め込む量を減らす」という発想で暑さ対策にアプローチします。

遮熱塗装と断熱塗装の違い

  • 遮熱塗装:太陽光を反射し、表面温度の上昇そのものを抑える。夏の日射対策に向く。
  • 断熱塗装:熱の伝導を遅らせる・伝わりにくくする。夏冬問わず室内外の熱の出入りを抑えたい場合に向く。

どちらが優れているというよりも、「日射による表面温度の上昇を直接抑えたいのか」「季節を問わず熱の伝わり方そのものを穏やかにしたいのか」という目的の違いで選ぶのが実務的な考え方です。屋根の劣化状況や建物の断熱仕様によって適した組み合わせも変わるため、現地調査を踏まえて判断することが望ましいでしょう。

省エネ・環境の視点から見た遮熱塗装

屋根表面温度の上昇を抑えることは、冷房負荷の低減による省エネだけでなく、建物から排出される熱を減らすことで都市部のヒートアイランド現象の緩和にもつながるとされています。エアコンの稼働率を下げられれば、CO2排出量の削減にも間接的に寄与するため、SDGsや脱炭素の観点からも意味のある選択肢の一つです。

今日からできる暑さ対策チェックリスト

本格的な工事を検討する前に、まずは自宅・建物の状態を確認してみましょう。

  • □ 屋根の塗膜が色あせ・チョーキング(白い粉状の劣化)を起こしていないか
  • □ 直射日光が強く当たる面の部屋だけ、他の部屋よりも明らかに暑くなっていないか
  • □ 天井や壁を触ったときに、外気温以上に熱を感じないか
  • □ 屋根裏・小屋裏に断熱材が施工されているか、経年劣化していないか
  • □ 直近で屋根・外壁の塗り替えをしてから何年経過しているか

これらに複数当てはまる場合は、表面温度の上昇が室温・電気代に影響している可能性があります。塗装の状態は地上や室内から見えにくい部分も多いため、気になる場合は専門業者による現地調査を受けることをおすすめします。

読者のみなさんへ

「うちの屋根も真夏はかなり熱くなっている気がする」「電気代の請求書を見るたびにため息が出る」——そんな経験がある方は、ぜひコメントやSNSでの共有で教えてください。地域や建物の条件によって感じ方はさまざまですので、皆さんの実感も今後の記事づくりの参考にさせていただきます。

次回は、遮熱塗装と並んで多くの建物で課題になりやすい「結露」や「雨漏り」をテーマに、原因の見極め方や対策の考え方を取り上げる予定です。あわせてご覧いただければ、建物のメンテナンス全体を見渡した判断がしやすくなります。

選択肢の一つとしての遮熱塗装(株式会社IESのサービス紹介)

株式会社IESでは、空調・電気・管工事から塗装・大規模修繕工事まで、建物にまつわる工事を幅広く手がけており、遮熱塗装についてもご相談を承っています。「本当に自宅の状況に遮熱塗装が合っているのか」「断熱塗装や他の対策と迷っている」といった段階からのご相談も可能です。売り込みではなく、現地の状態を確認したうえで、費用対効果も含めた選択肢をご提案することを大切にしています。ご興味のある方は、公式サイト(https://ies-japan.co.jp/)から詳細をご確認いただけます。

著者情報・お問い合わせ

本記事は、京都市下京区を拠点に空調・電気・管・塗装・大規模修繕工事、FA事業・省人化設備、補助金申請サポート、省エネコンサルタント事業を手がける株式会社IESが執筆しています。屋根・外壁の暑さ対策や省エネについてのご相談は、ies-kyoto@ies-japan.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

参考文献・出典

  1. 環境省「令和4年度 クールビズについて」 URL: https://www.env.go.jp/press/110933-print.html 参照日: 2026年7月27日
  2. アステックペイント「【実験検証】遮熱塗装による温度変化と省エネ効果|工場・倉庫の暑さ対策」 URL: https://astec-factory.com/info/2025/05/29/hr_experiment/ 参照日: 2026年7月27日
  3. エスケー化研株式会社「遮熱性能の検証|遮熱塗料でCOOLリフォーム」 URL: https://www.sk-kaken.co.jp/shanetsu/verification/ 参照日: 2026年7月27日
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