ブログトップへもどる

築年数が古い工場・倉庫ほど結露対策が必要な理由と、見極め方

公開日 最終編集日
結露防止塗装

築年数が古い工場・倉庫で、結露の相談が増えている

「去年までは何ともなかったのに、今年は天井から水滴が落ちてくる」「壁際に置いていた製品にカビが生えた」――築20年、30年を超える工場・倉庫からのこうした相談は、真新しい建物からの相談より明らかに多い傾向があります。単純に「古いから傷んだ」という話に見えますが、実際には経年劣化だけでは説明のつかない要因が重なっています。この記事では、なぜ築年数が結露リスクに直結するのかを、建物の断熱基準の歴史という切り口から掘り下げます。

結露が起きる条件は、実はシンプルな物理現象

結露は、空気中の水蒸気が冷えた表面に触れて水滴に変わる現象です。空気が保持できる水蒸気の量は温度によって決まっており、その空気が冷やされて限界(飽和水蒸気量)を超えると、余った水蒸気が「露点温度」以下になった表面で水に変わります。つまり結露が起きるかどうかを決めるのは、室内の湿度そのものよりも「表面温度が露点温度を下回るかどうか」です。この原理自体は建築・空調分野で確立された基礎知識であり、対策を考えるうえでの出発点になります。

「築年数」が意味しているのは劣化だけではない

ここで見落とされがちなのが、建物の断熱性能には長らく「最低基準」が存在しなかった、あるいは対象外の建物が多かったという規制の歴史です。

日本の省エネ基準は1980年の基準(いわゆる旧省エネ基準)を皮切りに、1992年の新省エネ基準、1999年の次世代省エネ基準と段階的に強化されてきました[1]。ただしこれらは長く住宅を主な対象としており、工場・倉庫を含む非住宅建築物については別の歩みをたどっています。中規模以上(延床面積300㎡以上)の非住宅は省エネ基準への適合(または届出・説明)が段階的に求められてきましたが、300㎡未満の小規模な非住宅建築物にまで適合義務が拡大されたのは2025年4月の建築物省エネ法改正によってです[2]。

つまり、それ以前に建てられた中小規模の工場・倉庫の中には、断熱性能について法的な最低基準そのものが存在しない時期に建てられたものが一定数含まれています。断熱材が「入っていない」ではなく「入れる義務がなかった」という建物が、今も現役で使われているということです。築年数は単なる経過年数の指標ではなく、「その建物がどの基準(あるいは基準の不在)のもとで設計されたか」を示す目安として読むことができます。

経年劣化が、断熱の不足に追い打ちをかける

基準の不在に加えて、経年劣化が結露リスクをさらに押し上げます。代表的なものは次の3つです。

  • 断熱材の沈下・吸湿:グラスウール等の断熱材は経年で自重により沈下したり、雨漏りなどで水分を含むと本来の断熱性能を発揮できなくなります。
  • 鉄骨部材の熱橋(ヒートブリッジ):鉄骨は熱を伝えやすいため、母屋やボルトなど断熱材で覆いきれない部分は周囲より表面温度が下がりやすく、結露の起点になりやすい部材です。これは新築でも起こり得ますが、断熱の初期性能が低い建物ほど影響が相対的に大きくなります。
  • 目地・シーリングの劣化:外壁のシーリング材は経年で硬化・ひび割れし、そこから浸入する外気が局所的な温度差を生むことがあります。

いずれも「古い建物だから仕方がない」で片づけられがちですが、原因を分解すると対策の優先順位が見えてきます。

見落とされがちなもう一つの要因:用途の変化

建物側の劣化と並んで見落とされやすいのが、稼働年数の長い工場・倉庫ほど、竣工時とは異なる使われ方をしているケースが多いという点です。増設された生産設備、後から導入した洗浄工程、荷捌きのために増えた人の出入り――これらはいずれも室内の水蒸気発生源を増やす方向に働きます。建物の断熱性能は変わらないまま、室内で発生する水蒸気の量だけが増えていれば、当然ながら結露は起きやすくなります。結露の相談を受けた際、建物の古さだけでなく「竣工時から工程が変わっていないか」を合わせて確認する価値はここにあります。

対策の選択肢と、結露防止塗装の位置づけ

結露対策は一つの方法で完結するものではなく、原因に応じて複数の手段を組み合わせて検討するのが基本です。換気の改善、除湿、断熱の補強、空気循環の促進などが代表的な選択肢です[3]。

このうち、既存の建物に後施工で断熱・調湿の機能を足す方法の一つが結露防止塗装です。当社が扱う結露防止塗装「スーパーボーロ」は、塗膜が吸放湿性を持ち、室内の湿度が上がると湿気を吸収し、湿度が下がると放出することで湿度変動を緩和するとともに、配合されているケイ藻土の多孔質構造が断熱性能の向上にも寄与し、表面温度を露点温度より下げにくくする、という2つの働きを組み合わせている点が特徴です[4]。乾燥膜厚1mmあたり最高で1㎡当たり約600cc(ペットボトル1本分)の水分を吸収するというメーカー公表値があり、コンクリート・モルタル・鉄骨・アルミニウム板など幅広い下地に施工いただけます[4]。

結露は建物ごとに水蒸気の発生量・換気状況・断熱状態が異なるため、同じ製品でも効き方には差が出ます。特に、洗浄工程やボイラーなど水蒸気を大量に発生させる設備が室内にある場合は、調湿効果のある塗装だけで解決を図るのではなく、局所換気や除湿と組み合わせて水蒸気の発生源側にも手を打つことを優先してご検討いただく方が合理的です。塗装は「表面温度を上げにくくし、湿度変動を緩和する」対策であって、大量の水蒸気そのものを排出する対策ではない、という役割の違いをご理解いただくと選択を誤りにくくなります。

築年数だけで判断しない:確認しておきたい3つのポイント

結露対策を検討する際、築年数はあくまで目安の一つです。実際に手を打つ前に、次の3点を確認しておくと優先順位を付けやすくなります。

  1. いつ、どの基準のもとで建てられたか:1999年の次世代省エネ基準以前、あるいは2025年4月の非住宅への適合義務化以前に建てられた建物かどうかは、断熱性能の水準を推測する手がかりになります。
  2. 竣工時から用途・設備が変わっていないか:増設した設備や工程が、室内の水蒸気発生量を増やしていないかを確認します。
  3. 結露が表面か、壁の中か:目に見える表面結露なのか、壁体内で進行する内部結露なのかによって、優先すべき対策が変わります。内部結露については当社の別記事でも解説していますので、あわせてご確認ください。

よくある質問

Q. 築何年くらいから結露対策を意識すべきですか?

A. 明確な年数の線引きはありませんが、一つの目安は1999年の次世代省エネ基準以前に建てられた建物、および2025年4月の非住宅建築物への適合義務化以前に建てられた中小規模の工場・倉庫です[1][2]。ただし年数より、断熱材の状態や用途変化の有無の方が実態に近い判断材料になります。

Q. 結露防止塗装だけで解決しますか?

A. 水蒸気の発生量が多い現場では、換気・除湿と組み合わせる方が合理的です。塗装は表面温度の低下と湿度変動を緩和する対策であり、発生源対策の代わりにはなりません。

Q. 断熱材を入れ直すのと、結露防止塗装ではどちらを優先すべきですか?

A. 断熱材の欠損や著しい劣化がある場合は、まずその補修が優先されます。既存の断熱がある程度機能している状態で、表面温度対策と調湿を追加したい場合に結露防止塗装が選択肢になります。

まとめ

古い工場・倉庫で結露が目立つのは、経年劣化だけが理由ではありません。建てられた当時の断熱基準(あるいは基準そのものの不在)と、竣工後の用途変化が重なって表面化しているケースが少なくありません。対策を検討する際は、まず自社の建物がどの時期の基準のもとで建てられたか、竣工後に水蒸気発生源が増えていないかを確認したうえで、換気・除湿・断熱・調湿塗装などの選択肢から、原因に合ったものを選ぶことをおすすめします。結露防止塗装の詳細や、現在の建物の状況に合わせた対策のご相談は、株式会社IES公式サイトのお問い合わせフォームから承っております。

参考文献・出典

  1. [資料6 省エネルギー施策の施行状況/国土交通省住宅局] URL: https://www.mlit.go.jp/common/001059548.pdf 参照日:2026年8月31日
  2. [2025年省エネ基準適合義務化とは?内容と影響について詳しく解説します!/環境・省エネルギー計算センター] URL: https://www.ceec.jp/column/shouene_tekigoseihantei/ 参照日:2026年8月31日
  3. [結露防止塗装/株式会社IES公式サイト] URL: https://ies-japan.co.jp/services/condensation-prevention-coating/ 参照日:2026年8月31日
  4. [スーパーボーロ/株式会社IES公式サイト] URL: https://ies-japan.co.jp/products/superbolo/ 参照日:2026年8月31日

著者情報

株式会社IES(京都市下京区)。空調・電気・管・塗装・大規模修繕工事、FA事業・省人化設備、補助金申請サポート、省エネコンサルタントを手がけています。結露・断熱に関するご相談は公式サイトよりお問い合わせください。

無料でお問い合わせ