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工場の結露とカビ、感覚でなく湿度計で見極める

公開日 最終編集日
結露防止塗装 結露対策 カビ対策

「結露とカビの関係を知る:放置のリスクと室内環境の整え方」を公開してから、約3週間が経ちました。あの記事では、結露がカビの栄養源になり、アレルギーや呼吸器症状につながりうるという関係を中心に取り上げました。今回はその続編として、「では、自分の工場・倉庫の結露は危ないレベルなのか」を、感覚ではなく数値で見極めるための視点を補足します。得られるのは、
 ①結露が発生する条件の物理的な整理
 ②行政が定める湿度の管理基準という具体的なものさし
 ③世界的に見た結露・カビ問題の規模感
 ④現場で見落としやすい結露の発生ポイント
 ⑤今日から使える点検チェックリスト
です。

「なんとなく湿気っぽい」で止まっていないか

結露やカビの相談で多いのは、「窓や壁が濡れている」「隅にカビが出た」という発見が先で、そこに至るまでの湿度がどう推移していたかは記録されていない、というケースです。工場・倉庫では居住空間と違って湿度計自体が置かれていないことも珍しくなく、体感で「今日は蒸すな」と感じる頃には、すでに壁の中や設備の裏側では結露が始まっていることがあります。

前回の記事では健康面(カビ・ダニによるアレルギー、呼吸器症状のリスク)を中心に扱いましたが、健康リスクの話は「では自社の現場は何%を超えたら注意すべきか」という具体的な数値の話とセットにしないと、行動につながりにくいという課題が残ります。今回はその数値の部分を補います。

結露の発生条件を確認する

結露は、空気中の水蒸気量が、その温度で空気が含める最大量(飽和水蒸気量)を超えたときに、余った水分が水滴として物の表面に現れる現象です。空気は温度が下がるほど含められる水蒸気の量が少なくなるため、暖かく湿った空気が冷たい表面(窓ガラス、金属配管、断熱の弱い外壁面など)に触れると、その表面付近で空気が冷やされて水蒸気を持ちきれなくなり、結露が生じます。この「空気が水蒸気を持ちきれなくなる温度」を露点と呼びます。

この物理現象自体に例外はありません。したがって結露対策の本質は、①室内の水蒸気量(湿度)を管理する、②表面温度と室温の差を縮める(断熱を強化する)、のいずれか、または両方に集約されます。目に見える窓の結露だけでなく、断熱性能が周囲より低い部分(金属の梁、配管の継ぎ目、外壁の熱橋になっている箇所など)でも同じ原理で結露が起きる点は、点検の際に見落とされがちです。

感覚ではなく、湿度の管理基準というものさしを持つ

厚生労働省は、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法)に基づく「建築物環境衛生管理基準」で、対象建築物における空気環境の管理基準の一つとして、相対湿度を40%以上70%以下に維持することを定めています。この基準は主に事務所・店舗・学校など一定規模の「特定建築物」を対象としたものであり、工場・倉庫の作業エリア全体に法的な適用があるとは限りません。ただし、事務所や管理棟を併設する施設では参考になりますし、そうでない現場でも「相対湿度が70%を超えている状態が続いていないか」を確認する際の、行政が示す具体的な目安として使えます。

湿度は高すぎても低すぎても問題を生みます。相対湿度が70%を超えるとカビが発生・繁殖しやすい環境になり、逆に40%を下回ると空気が乾燥し、喉や気道の防御機能が低下して感染症にかかりやすくなります。つまり「湿度を下げればよい」という単純な話ではなく、40〜70%という帯の中に収めることが管理の目標になります。湿度計を1台、結露が気になる場所(窓際、外壁に近い作業台、機械室など)に置いて数値を記録するだけでも、体感に頼っていた判断を、基準と比較できる判断に変えられます。

世界的に見ても、結露・カビは珍しい問題ではない

WHO(世界保健機関)が2009年に公表した室内空気質に関するガイドライン「Dampness and Mould(結露・カビ)」では、ヨーロッパ・北米・オーストラリア・インド・日本を含む地域で、屋内空間の10〜50%が結露・カビに関連する問題を抱えていると推定されるとしています。これは特定の国や特殊な建物だけの問題ではなく、気候や建物の構造にかかわらず一定の割合で起こりうる、という位置づけの数値です。自社の現場だけが特別に悪いわけでも、逆に「うちは大丈夫」と楽観できるものでもない、という前提で点検の頻度を決めるとよいでしょう。

見落としがちな結露の発生ポイント

結露点検というと窓ガラスに目が行きがちですが、工場・倉庫では次のような場所のほうが見落とされやすく、かつ被害が大きくなりやすい傾向があります。

  • 始業前の時間帯:夜間に室温が下がり、朝方に外気との温度差が最大になるタイミングで結露が発生しやすくなります。始業直後に床が滑りやすいと感じる場合、前夜からの結露が原因になっていることがあります。
  • 金属配管・ダクトの表面:金属は熱を伝えやすく冷えやすいため、断熱材の巻き方が不十分な継ぎ目や曲がり角で局所的に結露することがあります。
  • シャッター・搬入口周り:開閉により外気が出入りするため、周辺だけ温度差が大きくなりやすい箇所です。
  • 外壁の熱橋になっている部分:柱や梁など構造材が外気に近い部分は、周囲の壁面より断熱性能が低くなりやすく、そこだけ表面温度が下がって結露の起点になります。

これらは「壁や窓が濡れているかどうか」だけでなく、「同じ室内でも場所によって表面温度にどれだけ差があるか」という視点で見ると気づきやすくなります。

数値管理を助ける選択肢としての結露防止塗装

湿度を40〜70%の帯に収める方法は、換気や除湿機器による空気側の管理と、建材側で吸放湿する方法の大きく2通りがあります。当社が提供する結露防止塗装は、公式サービスページで「調湿効果のある塗料を使用することで、快適な湿度を保つ」と説明している、後者の建材側のアプローチです。

調湿効果のある塗料は、周囲の湿度が高いときに水分を吸収し、乾燥しているときに放出することで湿度の変動を緩やかにする建材です。原理上、吸放湿できる水分の量には表面積や塗膜の性質による上限があります。したがって、常時大量の水蒸気を発生させる工程が稼働している現場(洗浄・煮沸を伴う工程など、絶対湿度そのものが恒常的に高い環境)では、塗装だけで40〜70%の帯に収めきるのは難しく、換気・除湿設備との組み合わせが前提になります。逆に言えば、季節や時間帯によって結露が出たり出なかったりする、変動が主な原因になっている現場ほど、調湿塗装の効果を実感しやすい条件だといえます。

今日からできる点検チェックリスト

  • 結露が気になる場所(窓際・外壁近くの作業エリア・機械室・シャッター周辺)に湿度計を設置し、朝一番と日中の数値を記録する。
  • 相対湿度が70%を超える時間帯・場所がないか、1〜2週間分の記録で確認する。
  • 金属配管・ダクトの継ぎ目、外壁の柱・梁付近など、断熱が弱くなりやすい箇所を目視で点検し、水滴・シミ・カビ臭の有無を確認する。
  • 始業前後で床が滑りやすくなっていないか、フォークリフトの走行エリアを重点的に確認する。
  • 記録した数値・場所をもとに、換気・除湿の見直しで対応できる範囲か、建材側の対策(調湿塗装など)を組み合わせる必要があるかを切り分ける。

よくある質問

Q. 湿度計はどこで手に入りますか。特別な機器が必要ですか。

A. 一般的な温湿度計で相対湿度は確認できます。管理基準との比較が目的であれば、複数点の傾向を追える程度の精度で十分です。

Q. 窓の結露を拭き取っていれば問題ありませんか。

A. 目に見える結露を拭き取ること自体は有効ですが、断熱の弱い箇所や壁の中など、拭き取れない場所でも同じ原理で結露が起きている可能性があります。数値での傾向確認と組み合わせることをおすすめします。

Q. 調湿塗装をすればエアコンの除湿は不要になりますか。

A. いいえ。前述の通り、水蒸気の発生量が常時多い現場では換気・除湿設備との組み合わせが前提になります。調湿塗装は湿度の変動を緩やかにする建材側の対策として位置づけてください。

ご意見・ご相談をお寄せください

「うちの現場ではこういう場所で結露が出る」「湿度を測ってみたら基準を外れていた」など、現場ごとの状況は様々です。気になる点があれば、次項の窓口からお問い合わせください。皆様の現場での気づきは、今後の記事づくりの参考にもさせていただきます。

関連記事について

結露については、これまでに「冬に窓や壁がびっしょり…結露を放置するとどうなるか」「見えない結露が一番怖い?壁の中で起きる『内部結露』の正体」「築年数が古い工場・倉庫ほど結露対策が必要な理由と、見極め方」もあわせて公開しています。今回の記事とあわせてご覧いただくと、結露の原因・放置リスク・数値での見極め方まで一通り把握いただけます。

結露・カビ対策のご相談について

株式会社IESでは、空調・電気・管工事や大規模修繕、塗装工事、FA・省人化設備の導入まで幅広く手がけており、結露防止塗装もそのご提案の一つです。湿度の記録を取ってみて基準からの逸脱が続いている場合や、断熱の弱い箇所が特定できたものの対策の優先順位に迷う場合は、現場の状況をお伺いした上でご提案します。詳しくは公式サイト(https://ies-japan.co.jp/)または、ies-kyoto@ies-japan.co.jp までお問い合わせください。

著者情報

本記事は株式会社IES(京都市下京区)が運営する公式ブログの一環として作成しています。当社は空調・電気・管・塗装・大規模修繕工事、FA事業・省人化設備、補助金申請サポート、省エネコンサルタントを手がけています。結露・カビに関するご相談は、上記お問い合わせ先までお気軽にご連絡ください。

参考文献・出典

  1. 建築物環境衛生管理基準について|厚生労働省 URL: https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/ 参照日: 2026年9月9日
  2. WHO Guidelines for Indoor Air Quality: Dampness and Mould(Executive Summary) URL: https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK143943/ 参照日: 2026年9月9日
  3. 結露防止塗装|株式会社IES公式サイト URL: https://ies-japan.co.jp/services/condensation-prevention-coating/ 参照日: 2026年9月9日
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