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業務用エアコンの法定点検と更新判断、何を基準に見極めるか

公開日 最終編集日
空調の点検・更新

今年の夏も、工場や倉庫の空調は稼働し続けました。ピークが過ぎ、涼しさが恋しい真夏の緊張感が抜けたいまは、実は空調と向き合うのに適したタイミングです。以前の記事「残暑本番の今、エアコン点検を怠るとどうなる?故障と電気代への影響」では、点検を怠った場合に起きる故障と電気代への影響を扱いました。今回は一歩踏み込み、見落とされがちな「法定点検」の話と、「壊れてから交換」で本当に間に合うのかという更新判断の話を整理します。

フロン排出抑制法の「簡易点検」義務、把握できていますか

業務用エアコンや冷凍冷蔵機器のうち、フロン類(冷媒)を使う機器は「第一種特定製品」として、フロン排出抑制法の管理義務の対象になります。環境省のフロン排出抑制法ポータルサイトのFAQによれば、対象機器を保有する事業者は、機器の規模を問わず、3か月に1度以上の頻度で「簡易点検」を行うことが義務付けられています。簡易点検は専門資格がなくても実施でき、異音・外観の損傷やさび、油漏れ、熱交換器の霜の付着といった項目を目視や聴音で確認する内容です。

加えて、一定規模以上の機器には、有資格者による「定期点検」が1年ごと、または3年ごとの周期で別途義務付けられています。対象となる規模の区分は機器の種類・出力によって定められているため、自社の設備がどちらに該当するかは環境省・経済産業省が公開しているガイドラインで確認する必要があります。

この義務は建物の規模や業種を問わず一律にかかるため、「うちは小規模だから対象外だろう」という思い込みで簡易点検の記録が残っていない現場は珍しくありません。点検記録そのものは、次に述べる更新判断のための材料にもなります。

何年使ったら「更新」を検討すべきか

業務用エアコンは、使用年数がおよそ10年を超えたあたりから、圧縮機の圧縮効率や熱交換性能の低下が進みやすくなります。これは冷媒を圧縮して熱交換するという空調の基本的な仕組み上、部品の摩耗とともに避けられない経年変化です。設備専門メディア各社の分析では、同じ室温を保つために必要な消費電力が、最新の省エネ機種と比べて2割から4割以上多くなる場合があるとしています。

また、10年を超えると主要部品の故障頻度が上がる一方、複数の専門メディアの解説記事は、メーカーが補修用部品を保有する期間はおおむね10年程度が目安であり、これを過ぎると修理そのものが難しくなる場合があると説明しています。実際に正常稼働できる期間の目安(実用耐用年数)についても、業務用パッケージエアコンやビル用マルチエアコンでおおむね15年から20年程度とする分析が複数の専門メディアで示されています。

なお、税務上の減価償却の基準となる法定耐用年数は、国税庁の耐用年数表上、機器の区分によって6年から15年程度まで幅があります。これはあくまで会計処理上の基準であり、実際に使用できる期間(実用耐用年数)とは別の概念である点に注意が必要です。「法定耐用年数を超えた=即交換」でも、「まだ償却が終わっていない=更新は先」でもありません。判断の材料にすべきは、点検記録に表れる劣化のサインと、電気代の推移の実態です。

基準

目安

性質

法定耐用年数(国税庁)

機器区分により6〜15年程度

税務上の減価償却基準。実際の使用可否とは別

補修用部品の保有期間

おおむね10年程度が目安

これを過ぎると修理自体が難しくなる場合がある

実用耐用年数の目安

おおむね15〜20年程度

複数の専門メディアの分析による目安。稼働条件で前後する

更新判断の実務的な基準

更新のタイミングを考えるうえで、まず見るべきは新しい機種の性能表ではなく、自社の現在の設備をどう使ってきたかの記録です。フロン排出抑制法の簡易点検記録に「異音」「霜の付着」といった所見が増えてきていないか、電気代が同じような気候条件の年と比べて上振れしていないか、この2点は多くの現場で確認できます。

そのうえで更新される際には、当社では、清掃・更新・増設・新設・設計という5段階のいずれにも対応できる体制を整えており、ダイキン・三菱・東芝・日立など特定のメーカーに限定することなく、天井カセット型(4方向・2方向・1方向)、ラウンドフロー、天井吊型、床置型、壁掛型、ビルトイン型、天井埋込ダクト型など、幅広い設備タイプを取り扱っております。
更新の提案にあたっては、性能に余裕を持たせすぎた過剰な機種選定は避け、作業エリアの実際の使われ方に対して必要十分な性能を選定することで、コスト効率を重視した設計を行っており、納品の際には省エネ設定を行ったうえでお引き渡しする体制をとっております。
これは「とりあえず大きい機種にしておけば安心」という発想とは異なる考え方に基づくものです。

この基準に照らすと、更新を急ぐべきかどうかは部屋ごとに変わります。人の出入りが多く負荷変動の大きい作業エリアと、倉庫の隅で稼働時間が短い区画とでは、劣化の進み方も更新の優先度も同じではありません。稼働負荷が軽く、簡易点検の記録にも異常所見が出ていない機器については、無理に全面更新の対象に含めず、点検の頻度と記録の精度を上げて当面は使い続けるという判断も、実務的には十分に成立します。更新は「古いものから順に全部」ではなく、点検記録が示す劣化の実態に応じて優先順位をつけるべき性質の投資です。

実践のためのチェックリスト

  • フロン類を使う業務用エアコン・冷凍冷蔵機器について、3か月ごとの簡易点検の記録が残っているか
  • 一定規模以上の機器について、有資格者による定期点検(1年または3年ごと)の対象になっていないか確認したか
  • 直近の簡易点検記録に、異音・霜の付着・油漏れなど劣化を示す所見が増えていないか
  • 使用年数がおよそ10年を超えている機器について、同条件の年と比べて電気代が上振れしていないか
  • 更新を検討する際、性能に余裕を持たせすぎず、実際の作業エリアの使われ方に見合った機種を比較しているか

これらは、更新の見積もりを取る前に自社内だけでも確認できる項目です。特に簡易点検の記録は、法令上の義務であると同時に、更新判断の材料としても使える一次データになります。

まずは点検記録から見直してみませんか

「壊れてから交換で間に合うか」は、機器ごとの点検記録と使われ方を見なければ答えが出ない問いです。逆に言えば、簡易点検の記録さえ残っていれば、更新の優先順位づけはそれほど難しい作業ではありません。まずは自社の設備について、点検記録が3か月ごとに残っているかどうかを確認するところから始めてみてください。

当社では、清掃・更新・増設・新設・設計のいずれの段階からでも相談を受け付けており、特定のメーカーに限定せず全メーカーに対応しています。点検記録の見方や、更新すべきかどうかの切り分けだけの相談も可能です。ご興味があれば、下記の連絡先までお問い合わせください。

著者情報

本記事は株式会社IES(京都市下京区、空調・電気・管・塗装・大規模修繕工事、FA事業・省人化設備、補助金申請サポート、省エネコンサルタントを手がける企業)が執筆しました。空調設備に関するご相談は ies-kyoto@ies-japan.co.jp までお気軽にお問い合わせください。

参考文献・出典

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